事例から紐解く「共有地の分割」のポイント

遺産相続により取得した共有地についての税金に関する相談を受けました。

 

相談主(B):私と弟は8年ほど前に、父が所有していた土地を相続により取得し、各人2分の1の持分で共有登記をしておりました。今回、その土地を分割して単独所有としたのですが税金はどうなりますか?

原:共有名義の土地を持分に応じて分割し、単独所有とすることを法律上「共有物の分割」といいます。この共有物の分割をするためには、まず土地を二つに分割する必要があります。そして分筆登記した二つの土地の共有部分を交換(持ち分の移転登記)することにより、兄弟がそれぞれの単独の土地を所有することになるのです。このようなことから、一般に、共有地の分割は共有持ち分の交換による譲渡であると考えられています

しかしながら、一つの土地を現物分割した場合には、その資産全体に及んでいた共有持分権がその土地の一部に集約され単独所有権に転化したにすぎません。また、経済的な面からみても土地の譲渡による収入が実現したとはいえません。そこで、一つの土地について持ち分に応じた現物分割があったときは、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱われることになっています。また、この場合には申告の必要もありません。

 

ポイント

・持ち分に応じた土地の分割には税金はかかりません(登記費用は別)

・面積比が持分比と多少違う場合でも、土地の価額比が同等の場合には問題ありません

・不動産の共有持ち分は将来を見据えて早めに解消しましょう